【11月26日 AFP】仏パリでサーカス団から逃げ出して街中をうろついていたトラが射殺された事件で、このサーカス団「シルク・ボルマン・モレノ(Cirque Bormann Moreno)」の団長がトラのおりの鍵が「悪意ある行為」によって壊されていたと主張している。

 この事件は24日、同サーカス団が所有していた1歳半の雌トラ「メビィ(Mevy)」がパリ15区周辺をうろついているところを目撃された後、団長のエリック・ボルマン(Eric Bormann)さんに射殺されたもの。事件後、数時間にわたって警察の事情聴取を受けたボルマンさんは、メビィが逃げ出した経緯には犯罪行為があったと主張し、警察に捜査を求めた。

 ボルマンさんは25日、AFPの取材に、トラの世話の担当者は自分だけだと述べ、大型ネコ科動物については一貫した安全手順が定められていて、猛獣のおりはさらに入り口に鍵が取り付けられた飼育室の中にあると語った。つまり、猛獣がおりから逃げたとしても、飼育室のドアに鍵がかかっているので逃げ出せないというわけだ。同サーカス団から猛獣が逃げ出したことは40年間一度もなかったという。

 しかしボルマンさんが24日午後6時(日本時間25日午前2時)、トラの世話をしようと飼育室を訪れると、いつもかかっているはずのドアに鍵がかかっておらず、雌のトラ1頭がいなくなっていた。ドアには鎖付きの南京錠がかけられていたが、鎖は切断されていたという。ボルマンさんは何者かが悪意を持って鍵を壊したとみている。

 またメビィを射殺したことについては、鎮静剤を撃っても効果が出るまで時間がかかることから、この状況では射殺を判断せざるを得なかったと説明した。(c)AFP