【12月11日 AFP】ロシア極東の沿岸都市ウラジオストク(Vladivostok)にあるサファリパークで飼育されているトラが、生き餌として与えられたはずのヤギと友情を育み、同国の人々の心をとらえている。

 ウラジオストク郊外のプリモルスキー(Primorsky)サファリパークで飼育されている雄のシベリアトラのアムール(Amur)と、雄ヤギのチムール(Timur)は、仲良く食事をしたり、雪の中で遊んだりしている他、今週にはふざけて頭で互いを突っつきあう場面も見られた。

 この奇妙な友情の物語はロシア人の間で感動を呼んでおり、サファリパークは2頭に関する最新情報を定期的に公表している他、アムールの飼育場の内にライブカメラを設置する予定だ。

 スタッフによれば、アムールはこれまでの3年間、週に2回の頻度で餌として生きた動物を与えられてきた。だが先月、飼育場に放たれたヤギのチムールは、トラを恐れる様子がまったくなかったことから、アムールは指一本も触れなかったという。

 今では、それまでアムールのものだった寝床でチムールが眠り、アムールはその屋根の上で夜を過ごしている。朝になれば2頭は落ち合い、広大なパーク内を仲良く散歩する。たいていアムールが先に歩き、その後をチムールがついていく。ここ数日、2頭は追いかけっこなどをして、共に遊ぶようになった。

 アムールはチムールに獲物の捕らえ方を教えようとすることもあり、最近ではチムールの餌の鉱塩(こうえん)にも興味を示している。

 サファリパークのドミトリー・メゼンツェフ(Dmitry Mezentsev)園長は、2頭の友情は奇跡的だと話している。今では「ヤギに敬意を表して」アムールには生きたウサギが与えられているという。(c)AFP