【11月17日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、ウクライナ政府と対立する親ロシア派勢力の指導者らと電話で会談し、政府側と親ロシア派の捕虜交換について協議したことが分かった。プーチン大統領が親ロシア派指導者らとの直接接触を公式に認めたのは初めて。

 ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)は15日夜、プーチン大統領が電話で「ドネツク人民共和国(Donetsk People's Republic)」の指導者アレクサンドル・ザハルチェンコ(Alexander Zakharchenko)氏と、「ルガンスク人民共和国(Lugansk People's Republic)」を率いるイーゴリ・プロトニツキー(Igor Plotnitsky)氏と会談したと発表した。

 両「共和国」は、2014年にロシアがウクライナ東部のクリミア(Crimea)半島を併合した後にウクライナのドネツク州、ルガンスク州でそれぞれ親ロシア派が樹立を宣言した未承認国家。ウクライナでは現在も紛争が続いており、死者は既に1万人を超えている。

 欧米諸国はプーチン大統領がウクライナ東部の情勢に深く関与し画策を張り巡らしてきたと主張しており、プーチン氏が紛争への介入の意思と手腕を示したとも受け取れる今回の動きが反発を招くのは必至だ。

 これに先立ち15日、プーチン大統領はウクライナの政治家ビクトル・メドベチュク(Viktor Medvedchuk)氏と面会している。メドベチュク氏は親ロシア派と個人的なパイプを持ち、ウクライナ政府代表団の一員として親ロシア派との交渉に携わっている人物で、プーチン大統領に捕虜交換への支援を要請した。

 クレムリンによると、ウクライナ側が捕らえた親ロシア派戦闘員306人と親ロシア派に身柄を拘束されているウクライナ人74人を交換するメドベチュク氏の提案について、プーチン大統領はザハルチェンコ、プロトニツキー両氏と協議し、2人とも「提案を支持した」という。両氏は16日の声明で、クレムリンの発表を事実と認めた。

 ウクライナ議会のイリナ・ゲラシュチェンコ(Iryna Gerashchenko)副議長はテレビ演説し、「全ての捕虜の開放につながるカギはクレムリンが握っている」「新年までには解放に関する朗報が、愛する者を待つ大勢の人々の元に届くことを願ってやまない」と述べた。(c)AFP