【11月17日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)が16日、大規模な不正の証拠が発覚して2015年から資格停止処分を科されているロシア反ドーピング機関(RUSADA)に対する処分解除を見送ったことを受け、同国は来年2月に開催される平昌冬季五輪に出場できなくなる可能性に迫られる打撃に見舞われている。

 WADAの独立調査官リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏がまとめた報告書で、同国はメダル獲得数で最多を記録した2014年ソチ冬季五輪を含め、2011年から2015年まで国家ぐるみでドーピングの隠蔽(いんぺい)工作をしていた疑惑が指摘された。

 韓国・平昌(Pyeongchang)で開催される冬季五輪について、国際オリンピック委員会(IOC)が来月の理事会でロシアの参加可否を決定するのに先立ち、今回の裁定を下したWADAのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長は、ソウルで開かれた理事会の後、報道陣に対して「われわれには、国際大会に誰が参加するのか決める権利はない」と述べた。

「大会主催者がその権利を持っている。RUSADAが現在も資格停止なのは遺憾だ。資格が取り上げられて以降、厳密には同機関は大きく改善されている。しかし、資格回復への計画表が示されている中、満たされるべき二つの条件が残されており、われわれはその計画表に基づいた責任から逃れることはできない」

 IOCはWADAの裁定を受け、「ロシア選手の参加可否を決定する際には、2018年冬季五輪の競技レベルを確保するためのあらゆる措置を含めて、すべての状況を考慮していく」と述べた。

 一方、ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)は処分継続の裁定について、「不公平」だと反発の姿勢を示しており、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の報道官を務めるドミトリー・ぺスコフ(Dmitry Peskov)氏は記者団に対し、「これは不愉快なニュースだ」と語った。

「この裁定には納得できない。これは不公平だと断言する。国が関与したとされる一連のドーピング疑惑について、われわれは抗議しており、これからも抗議を続ける。われわれは五輪への準備を進めている」

 ロシアは国内におけるドーピングシステムの欠陥を認めたものの、国の関与については否定しており、RUSADAとモスクワの研究所職員を批判している。

 ロシア・オリンピック委員会(ROC)のアレクサンドル・ジューコフ(Alexander Zhukov)会長は、ソウルでの会見で、「わが国の反ドーピングシステムに不手際があった事実は受け入れる。(しかし)国家ぐるみのドーピングシステムであったことついては断固として否定する」と述べると、マクラーレン報告書の正当性を無条件で認めることは「不可能である」とつけ加えた。(c)AFP/Andrea BAMBINO