■ギャンブル依存の夫

 韓国人の夫と別れたベトナム人女性は、母国に戻ってからも悩みが尽きない。法的に離婚が認められなかったり、韓国で生まれた子どもがベトナムの学校にすぐに入れなかったりするからだ。

 2人の子どもを持つグエン・ティ・キム・ハン(Nguyen Thi Kim Han)さんは、貧しい家族を助けたいという思いから2007年に韓国人男性と結婚。しかし相手の男性はギャンブル依存症を隠しており、家族の口座を2回も空にした。

「最初は優しい良い人でした。お金はあまりなかったけれど、それはたいした問題ではありませんでした」とハンさん。だが、男性はお粗末な株取引で全財産をすってしまったのだという。

 2度目の破産の後、彼女は子どもを連れてベトナムへ帰国したが、今度は子どもを学校に入れるのに苦労し、最後はKOCUNの支援でどうにか入学させることができた。2011年に設立されたKOCUNでは、韓国人男性と結婚する女性のために、韓国の気候や文化、言葉や食事を教える活動とともに、帰国した女性の支援も行っている。

 また韓国人とベトナム人男女の結婚の大半は違法業者が仲介している。こうした業者は、韓国人男性が裏側の部屋から花嫁候補を見ることができる会を開くことで悪名高い。しかしベトナムの警察による違法ブローカー取り締まりと、韓国政府がビザ条件を厳格化したことで、こうした国際結婚は減り始めている。

 ムオイさんは結婚生活に楽観的だが、韓国でとても寂しく感じることがあるとは言う。退屈なときは夫の仕事場で、静かに横に座って過ごす日もある。ベトナムの家族とは、夫のキムさんが買ってくれた電話で毎日話すが、それでもホームシックがつらい。「家族のことを考えるといつも泣いてしまいます」 (c)AFP/Jenny VAUGHAN with Hwang Sung-Hee in Gwangju