【11月15日 AFP】(更新)アフリカ南部ジンバブエの首都ハラレで15日、兵士らが国営放送局に現れ、声明を読み上げた。同日未明にはロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領(93)の私邸付近で発砲もあったもようだが、将校らはクーデターではなく、ムガベ大統領周辺の「犯罪者」を標的とした行動だと主張した。大統領については「無事」と説明している。

 ジンバブエではムガベ大統領が後任問題をめぐりエマーソン・ムナンガグワ(Emmerson Mnangagwa)副大統領を解任したことに、国軍トップのコンスタンチノ・チウェンガ(Constantino Chiwenga)司令官が反発。前日には首都近郊で複数の軍装甲車も目撃されていた。

 国営テレビに登場した将校の一人は「軍による政権の奪取ではない」と主張。「大統領閣下とそのご家族は無事であり、安全も保障されているので、国民は安心してほしい」と語った。

 その上で「我々は大統領周辺の犯罪者を標的にしているに過ぎない。任務を完遂し次第、状況は正常化するものと考えている」と述べた。

 ムガベ大統領の邸宅のすぐ近くに住む住民はAFPに「午前2時過ぎ、3~4分にわたって彼の自宅の方から30~40発ほどの発砲音が聞こえた」と語った。

 また在ハラレ米大使館は15日、「夜通し政治的に不透明な状況が続いた結果、大使は職員全員に自宅待機を指示した」と発表。「ジンバブエにいる米市民は追って連絡があるまで、しかるべき場所に避難する」よう呼び掛けていた。

 国軍はムガベ大統領とその37年間にわたる統治の屋台骨を支えてきた存在だ。だがチウェンガ司令官が副大統領の解任に異議を唱えたことに、ムガベ氏率いる与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)は14日、チウェンガ氏の主張は「反逆行為」に当たると非難していた。

 ムナンガグワ氏は副大統領職を解任される前、ムガベ氏死後の次期大統領の座をめぐりムガベ氏の妻のグレース(Grace Mugabe)夫人(52)と繰り返し衝突していた。(c)AFP/Reagan MASHAVAVE