【11月11日 AFP】財政難にあえぐイタリアの首都ローマ市当局が、観光名所「トレビの泉(Trevi Fountain)」に投げ込まれる硬貨に熱視線を向けている。

 トレビの泉に観光客が投げ込む硬貨の額は1年で最大100万ユーロ(約1億3000万円)に達するとされ、これまではカトリック教会系の慈善団体カリタス(Caritas)に寄付されてきた。だが地元メディアの10日の報道によると、今後はローマのビルジニア・ラッジ(Virginia Raggi)市長の手元へと渡り、市当局が決定するプロジェクトの財源として使われる予定だ。

 300年近く前のバロック時代に建てられたトレビの泉については、背を向けながら硬貨を投げ入れた人は必ずローマを再訪できるとの伝説がある。2年前の大規模修復工事完了後もこの習慣は根強く残っており、ほぼ毎日のように数千人が訪れる観光スポットとなっている。

 市当局が市内の噴水から得る収入は、硬貨回収だけではない。トレビの泉は、フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)監督の映画『甘い生活(La Dolce Vita)』(1960年)で女優アニタ・エクバーグ(Anita Ekberg)が噴水内に入って戯れるシーンが有名だが、ラッジ市長は今夏、エクバーグのまねをして市が管理する噴水の内部に立ち入る行為に対し、罰金を科す措置を導入した。(c)AFP