【11月8日 AFP】サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子は7日、イランがイエメンのイスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装組織「フーシ派(Huthi)」に弾道ミサイルを供給することにより、サウジアラビアに対する「直接的な軍事侵略」に及んでいるとして、イランを非難した。国営メディアが報じた。

 サウジアラビアでは4日、イエメンからフーシ派が発射したとみられる弾道ミサイルが首都リヤドの国際空港付近に飛来し、軍の迎撃により破壊された。フーシ派のミサイルがリヤドに到達して航空交通を脅かしたと報じられたのは今回が初めてで、イエメンと国境を接するサウジアラビア南部での緊張の高まりが浮き彫りになった。

 国営サウジ通信(SPA)は、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英外相との電話会談でムハンマド皇太子が、「イランがフーシ派へのミサイル供給に関与していることは、イラン政権による直接的な軍事侵略」に当たり、「戦争行為とみなされ得る」と述べたと伝えた。

 一方のイランは、同国がフーシ派にミサイルを供給しているとするサウジアラビアの主張を否定。イラン外務省報道官によると、同国のモハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相はジョンソン外相との電話会談で、「サウジ政府関係者らの主張は事実に反しており、危険だ」と述べ、「サウジ政府による挑発的な行動」を批判した。

 こうした中、米政府も7日、今年7月にフーシ派がサウジアラビアに向け発射したミサイルはイランが供給したものだったとの見解を示し、国際社会による対応を呼び掛けた。

 ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)米国連(UN)大使は声明を出し、「この種の兵器をフーシ派に供給することによって、イランの革命防衛隊(IRGC)は、2つの国連決議に同時に違反している」と指摘。

 その上で、「われわれは国連と国際社会のパートナーに対し、イラン政権にこれらの違反行為の責任を果たさせるため、必要な行動を起こすよう要請する」と呼び掛けた。(c)AFP