【11月3日 AFP】国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のエルハッジ・シィ(Elhadj Sy)事務総長は今週、AFPのインタビューに応じ、バングラデシュに大量に流入したイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)難民の間で、コレラの脅威が「時限爆弾」のように迫っていると警告した。

 シィ事務総長は「コレラの大発生につながりかねない事態に陥る恐れを抱く、あらゆる理由がある」とし、「われわれは間違いなく、時限爆弾の上に座っている」 と述べた。

 8月25日に始まったミャンマーのラカイン(Rakhine)州での軍事弾圧を逃れ、これまでに60万人以上のイスラム教ロヒンギャがバングラデシュ南東部コックスバザール(Cox's Bazar)地区の仮設キャンプに押し寄せており、ここ数十年間で最悪の難民危機の一つとなっている。

 貧困と人口過多に見舞われているバングラデシュは、この大量の難民流入の対応に苦闘している。難民の半分以上が子どもで、その多くは数日から数週間に及ぶ旅で疲労し、栄養不良の状態で到着する。

 先週、コックスバザールに3日間滞在したシィ氏は、現地の状況は「形容し難く」「とても悲痛」だと語った。

 最大の懸念の一つは、コレラ発生の恐れを引き起こしている劣悪な衛生状態と衛生設備の欠如だ。コレラは汚水を通して広がり、治療をしなければ死に至る可能性もある。

 先月、難民キャンプの近くに野戦病院を開設したIFRCはこれまでに、下痢の症状が見られる多数の患者の治療にあたっている。一方、国連はコレラ流行を防ぐために大規模な予防接種の取り組みを開始した。これまでのところコレラの症例は見られていないが、シィ氏は、不衛生な状況下ではコレラ流行の可能性があると警告している。(c)AFP/Nina LARSON