■自衛のためには銃が必要

 米国人の多くは、銃の所有について合衆国憲法修正第2条にうたわれている基本的権利だとしている。そこには「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるため、国民が武器を保持する権利は侵してはならない」と記されている。

 ハリウッド(Hollywood)の西部劇とテレビ番組は、カウボーイの銃文化を美化するのに一役買ったかもしれないが、1960年代末からの犯罪件数の増加とそれに対する恐怖心は、今日の銃所有の状況を説明する上でより説得力を持つ。

 また「自衛のためには銃が必要」という考えを米国民に植え付ける上で、銃所有の権利擁護団体、全米ライフル協会(National Rifle AssociationNRA)の存在は大きな役割を担ったと、ウィンクラー氏は指摘する。

「自衛は独立独歩の自らの足で立つ人間がすること」──この考えは多くの米国人が持つ自己像にしっかりと取り込まれており、「彼らは自分自身と自分の家族を守り、何者に対してもひるむことはない」 と同氏は話す。

■アイデンティティー

 銃所有の権利とその規制については、今日の米国において常に議論の対象となっており、意見が二分する問題だ。ピュー・ リサーチ・センターの調査によると、銃を所有しているのは共和党支持者44%に比べ、民主党支持者では20%だという。

 ノースフロリダ大学(University of North Florida)のデービッド・カートライト(David Courtwright)教授(歴史学)は、銃の所有が悪者からの自衛目的にとどまらず、アイデンティティーの問題にも発展していると指摘する。

 A.J.サマセット氏も「銃は自由を象徴する。自由を愛し責任ある米市民であるというアイデンティティーを表現するもの」と話し、「だからこそ、その象徴を手放すには極めて大きな抵抗がある」と、この問題の難しさに触れた。(c)AFP/Chris Lefkow