【10月15日 CNS】アリババ(Alibaba)創業者のジャック・マー(Jack Ma)会長は、人類の未来のための研究として「達摩院(DAMO)」の設立を発表した。今後3年間で、1000億元(約1兆7036億円)以上を投入するとしている。中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)で開催した同社主催のクラウドコンピューティングをテーマにした会議「2017杭州・雲栖大会(The Computing Conference)」で11日、明らかにした。

 マー会長は達摩院を設立するにあたって、三つの希望を語った。一つ目は、アリババがなくなっても達摩院は生き残ること。二つ目は、少なくとも全世界の20億人へサービスを提供すること。そして三つ目に、常に未来を向き、科学技術で未来の問題を解決することだ。

 研究分野は、量子コンピューター、人工知能(AI)、アルゴリズム、ネットワークセキュリティ、ビジュアル・コンピューティング、自然言語処理などや、マシンインテリジェンス、AIネットワーク化、金融テクノロジーなどで、基礎・応用研究を行う。

 拠点はアジア、米国、ヨーロッパにそれぞれ設ける。北京(Beijing)、杭州、シンガポール、イスラエル、米国ワシントン(Washington)州ベルビュー(Bellevue)、ロシアのモスクワ(Moscow)などにそれぞれの研究テーマの実験室を設け、初期段階の計画では100人のトップクラスの科学者と研究員を投入するという。世界各地の達摩院にそれぞれ院長が就任し、アリババグループの張建鋒(Jeff Zhang)CTO(最高技術責任者)が主任院長としてまとめる。

 モットーは、「Research for solving the problem with profit and fun(利益が出て、かつ楽しい問題解決のための研究)」。「達摩院」の名は、少林武術の基礎を修行・研究する場所の名にちなんだ。アリババは実験室を「達摩院」と命名することで、実験室が科学技術の基礎を研究し、昇華させる場となることを願っている。

 しかしマー会長は、「達摩院はアリババのための実験室ではない」という。「『達摩院』は、未来の世界経済に、よりインクルーシブ(包摂的)で、よりサステナブル(持続可能)な、そしてハッピー(幸福)でヘルシー(健康)なサービス」を提供するためにあるのだという。(c)CNS/JCM/AFPBB News