【10月1日 AFP】(写真追加、更新)パリ(Paris)発ロサンゼルス(Los Angeles)行きの仏航空大手エールフランス(Air France)のA380型機が9月30日、エンジン4基のうち1基に「重大な損傷」が発生したため、カナダ東部の空港に緊急着陸した。

 エールフランスのスポークスマンはパリでAFPに対し、「066便はそれ以上の損傷が発生することなくカナダのグースベイ(Goose Bay)空軍基地に着陸した。乗客乗員520人は全員避難し、負傷者はいない」と説明した。

 スポークスマンによると、A380はグリーンランド(Greenland)を通過した際に目的地を変更し、グリニッジ標準時(GMT)午後3時42分(日本時間10月1日午前0時42分)にグースベイ空港に「問題なく」着陸したという。乗客は496人、乗員は24人で、エールフランスは乗客を米国に振り替え輸送する方法を検討している。

 乗客やその親族がソーシャルメディアに投稿したとみられる動画や写真からは、右外側のエンジンの前方部分が大きく損傷し、カウリング(エンジンのカバー)がなくなっているのが分かる。エンジンが損傷した原因は分かっていない。

 乗客のサラ・エーミー(Sarah Eamigh)さんはカナダ放送協会(CBC)に、ドカーンという音に続いて急に高度が下がったと語った。「客室が揺れました。誰かが叫び声を上げ、何か悪いことが起きたと分かったんです」「客室乗務員は急いで通路を歩いていました。それから機長からエンジン1基が爆発したというアナウンスがありました」

 乗客で元航空機整備士のデービッド・レーマー(David Rehmar)さんは英BBCに、「大きな『ドカーン』という音がした。振動だけで私はエンジン故障だと思った」と話し、タービンの故障が原因だと思うと語った。レーマーさんは一瞬、「これは落ちるな」と思ったという。

 別の乗客、パメラ・アダムス(Pamela Adams)さんはカナダ放送協会に、フライトは正常だったが「高度3万5000フィート(約1万メートル)で突然ジープにぶつかったような感じがしました」と語った。アダムスさんは揺さぶられ機体は少し高度を下げたが、パイロットたちは見事に立て直したという。アダムスさんは「パニックが起きるかもしれないと思いましたが、起こりませんでした」と話し、パイロットたちの対応を称賛した。

 A380は欧州エアバス(Airbus)の2階建てワイドボディー機で、旅客機としては世界最大。エールフランスは10機運航している。米ゼネラル・エレクトリック(GE)とプラット&ホイットニー(Pratt and Whitney)の合弁会社が開発した大型ターボファンエンジンGP7200を採用している。

 グースベイはカナダ空軍の基地だが、大西洋を横断する航空機が緊急時に着陸する空港にも指定されている。(c)AFP