■首謀者は誰か、錯綜する情報

 軍が同地域に報道関係者を案内して取材を行わせたのは今回が初めて。現地ではこれまで厳しいメディア規制が敷かれ、襲撃の首謀者をめぐって錯綜(さくそう)する情報を検証することが困難だった。

 当局による遺体捜索に協力したヒンズー教指導者のニ・マウル(Ni Maul)さんは報道陣に対し、ヒンズー教徒の女性8人の証言を手掛かりに埋葬場所を発見したことを明らかにした。この女性たちは、男たちにイスラム教への改宗を迫られて同意した後、殺害を免れてバングラデシュに移送されたという。

 27日には、行方が分からなくなっているヒンズー教徒の村民約50人の捜索活動も継続されたが、バングラデシュやミャンマーの他の地域に逃れたヒンズー教徒らは、家族との連絡も途絶えた中で最悪の事態を恐れている。

 長年、一触即発の状態が続いていたラカイン州で発生した今回の襲撃は、さまざまな民族間で積もっていた憎悪をさらにかき立てる結果となった。

 虐殺から生き延びた女性たちは、覆面の襲撃者らはイスラム教徒の武装集団だったとは特定しなかったものの、自分たちが標的になったのはヒンズー教徒だからだと話した。

 一方、バングラデシュ南東部コックスバザール(Cox's Bazar)県クトゥパロン(Kutupalong)の難民キャンプ近くにあるテントでは、ロヒンギャの武装集団の一員とされる男性が支持者らの前で、襲撃を行ったのは暴徒化した仏教徒であり、彼らは設立されて間もないイスラム教の組織に罪をなすり付けていると非難していた。

 バングラデシュ当局に身元を知られないよう匿名で取材に応じたこの男性は、「仏教徒は私たちのイメージを傷つけようとしている」「私たちは正当な理由もなく、モグ(ラカイン州の仏教徒)や非イスラム教徒に危害を加えたりはしない。彼らは私たちを悪者と見せ掛けるためにうそをついている」と語った。(c)AFP