■メルケル氏を見くびった政治家は痛い目に

 しかし、メルケル氏を見くびり、その代償を支払わされた政治家は少なくない。コール氏もそのうちの一人だ。1999年にコール氏が選挙献金問題で渦中の人物になると、メルケル氏はコール党首の解任を呼び掛けた。

 この動きで一躍注目を集めたメルケル氏は、アウトサイダーの立場からCDUを改革。進歩的な社会政策、徴兵制廃止、脱原発路線などを打ち出してきた。

 債務危機をめぐっては、危機に見舞われた欧州を支えるリーダーとして存在感を発揮。緊縮策を迫ったギリシャなどの南欧諸国からは「緊縮の女王」とのあざけりを受けた。

 米誌ニューヨーカー(New Yorker)はメルケル氏をこう評している。「頼りない男たちであふれたこの世界で最もパワフルな女性」と。4期目に入るに当たり、メルケル氏は国内では敵なしに見える。だが、課題は山のように待ち受けている。(c)AFP/Frank ZELLER