■過去10年で約11万1000頭減

 ゾウの夜間行動は、密猟の激しさの度合いに同調して有意に増加していた。この傾向は特に雌に関して顕著だった。

 イホワギ氏はAFPの取材に、危険度が高い区域では、雌は日中の活動を、危険度が低い区域の平均約50%まで減少させていると説明した。

 このような行動パターンの変化は、短期的には死を回避する上で助けになるかもしれないが、長期的にはその影響が逆に作用する恐れがあると、イホワギ氏は続けた。

 高い知能を備えているにもかかわらず、ゾウは進化の時間スケールの中で発達させ深く根づかせた採餌戦略と繁殖様式によって、その適応力に制限が生じる可能性がある。

 イホワギ氏は、「幼い子どもを伴った母親ゾウにとっては、ライオンやハイエナに子ゾウを補食されるリスクは夜間の方が高くなると考えられる」と指摘しながら、「成熟したゾウでは、これは通常の社会生活の変容を意味する」と説明した。

 国際自然保護連合(IUCN)によると、アフリカゾウの個体数は過去10年で約11万1000頭減の41万5000頭にまで減少したという。

 象牙製品は伝統薬やステータスシンボルとして用いられ、主にアジア市場での需要が高い。この需要を満たすために毎年3万頭前後のゾウが違法に殺され続けている。(c)AFP/Marlowe HOOD