■観光客が地面に座って飲食しないよう散水

 バレアレス諸島では、一度に同地域のホテルや合法的な宿泊施設に滞在できる旅行客の人数を62万3000人前後に収めるようにした。

 クロアチアのドゥブロブニクは、クルーザーの寄港地として人気を集めている。テレビのファンタジードラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」の舞台になってからというもの、その人気はさらに高まった。住民は、混雑のせいで移動がほぼ不可能になっていると困惑。地元に住むある女性は、「旧市街に入るのに気温40度の炎天下で1時間並ばなくてはいけないこともある」と嘆いた。

 マト・フランコビッチ(Mato Frankovic)市長はAFPに対し、旧市街に入る人数を計測するカメラを設置し、当局は入港するクルーザー数の削減計画を進めていると明かした。

 クロアチアからアドリア海(Adriatic Sea)を挟んで対岸、イタリアのベネチアでも同様の措置が既に講じられている。人口26万5000人の同市を訪れる旅行客は、年間約2400万人に上る。

 ベネチア当局は、人気のサンマルコ広場(Saint Mark's Square)を混雑する時間帯に訪れようとする観光客には、事前予約を義務付けるシステムの試験運用を決めた。さらに、決められた場所以外の戸外で飲食をしたり運河を泳いだりした観光客には、500ユーロ(約6万6000円)の罰金の支払いを命じる予定だという。

 また同国フィレンツェ(Florence)では、公共の場所の地面に座って飲食をしないよう、大勢の人々が集まる教会の階段などに水をまく対策を取り始めた。

 ある観光情報ウェブサイトの創設者は、市内中心部への集中を緩和するため、観光客が比較的少ない地区へ誘導するという解消策を提案。しかしこのせいで、以前は観光客がいなかった場所にまで問題が拡大するという事態も生まれている。