【8月24日 AFP】ドイツ連邦銀行(Bundesbank、中央銀行)は23日、フランスの中央銀行に預けていたすべての金塊をドイツ本国に輸送したと発表した。米国で保管していた一部金塊も国内に移したという。当初計画では2020年までに行われる予定だったが、3年前倒しで完了した。

 ドイツ連銀のカール・ルートウィヒ・ティーレ(Carl-Ludwig Thiele)理事によると、フランス・パリ(Paris)のフランス銀行(Banque de France、中央銀行)に預けられていた約374トンの金塊がフランクフルト(Frankfurt)にあるドイツ連銀の保管室に移された。これは同国が保有する金塊全体の11%に相当する。また米ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)からも金塊300トンがドイツに輸送されたという。

 金塊の輸送は秘密裏に行われ、費用は770万ユーロ(約9億9000万円)だった。これでドイツ連銀が国内で保管する金塊は全体の50%となった。

 ドイツは冷戦(Cold War)時に、旧ソ連の侵攻に備えて金塊を世界に分散させて保管。世界で最も流通量の多い通貨である米ドルを発行する米国のニューヨーク(New York)はうってつけの保管場所だった。

 しかしユーロ圏危機の真っただ中の2012年、欧州統合懐疑派は、ドイツ国外に保管している金塊が貸し出されたり売り払われたりするなど手をつけられている場合に備えて監査を要求。そしてドイツ連銀の理事会は2013年、国内で保管する金塊の割合を増やすことを決めていた。

 ドイツ連銀の金準備は3378トンで米国に次ぐ世界第2位。1本12キロの金の延べ棒だと27万本、市場価格は1200億ユーロ(約15兆4500億円)相当に上る。(c)AFP