【8月8日 AFP】自転車ロードレースの三大ツール(グランツール)で通算7勝を挙げ、史上6人しか達成していないツール・ド・フランス(Tour de France)、ジロ・デ・イタリア(Giro d'Italia)、ブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a Espana)のすべてで優勝を経験している偉大なサイクリストの一人、アルベルト・コンタドール(Alberto Contador、スペイン)が7日、母国で開催されるブエルタを最後に現役を退くことを発表した。

 ツール・ド・フランスで通算2度の優勝を果たしている34歳のコンタドールは、自身のインスタグラム(Instagram)に投稿した動画で「二つのお知らせがある。今月19日に開幕するブエルタ・ア・エスパーニャに出場すること。そしてプロのサイクリストとして最後のレースになることだ」と述べた。

「ずっと考えていた決断であり、母国レースで別れを告げられる以上のことはない。皆さんの応援を受けて素晴らしい3週間になることを確信している。スタートが待ちきれない」

 ディスカバリーチャンネル・プロサイクリングチーム(Discovery Channel Pro Cycling Team)時代の2007年にツール初制覇を成し遂げ、一躍有名になったコンタドールは、アスタナ(Astana、当時)に移籍した2008年に、チームのドーピング問題でツール出場禁止となったため、大会連覇はならなかったものの、同年のジロとブエルタを制し、2009年にはツール通算2勝目を挙げた。

 しかし、2010年のツールで筋肉増強剤クレンブテロール(clenbuterol)に陽性反応を示し、そのキャリアに影を落とした。コンタドールは禁止薬物が含まれていた肉を食べたためと弁明したものの、2012年にスポーツ仲裁裁判所(CAS)から期間をさかのぼって2年間の資格停止処分が科され、2010年のツールと2011年のジロで獲得したタイトルも剥奪された。

 その後、処分が明けてレースに復帰したコンタドールは、2012年と2014年にブエルタ、2015年にはジロで総合優勝を果たしたが、ツールで再び栄光をつかむことはできず、最高成績は2013年の総合4位となっていた。

 当初は2016年終了後の現役引退を表明していたコンタドールだが、昨季の好成績に後押しされて2017年も現役続行を決意し、ティンコフ・サクソ(Tinkoff-Saxo)の解散に伴い、今季からトレック・セガフレード(Trek Segafredo)に加入した。

 しかし、今年7月のツールではチームスカイ(Team Sky)のクリス・フルーム(Chris Froome、英国)に9分近くの差をつけられ、総合9位という不本意な結果に終わった。

 トレック・セガフレードのルカ・グエルチレーナ(Luca Guercilena)監督は、「これほど偉大な王者と一緒に仕事ができて光栄だった。アルベルト・コンタドールはこれまでずっと、その闘志とプロ精神を示してくれた。たった1年とはいえ、彼をチームに迎えられて最高だった。これからも全力で彼をサポートし、最後のブエルタ・ア・エスパーニャで最高の結果を残せるようにしていく」と述べた。

 コンタドールが有終の美を飾って自転車ロードレース界に別れを告げるには、ブエルタでフルームを筆頭に、ファビオ・アール(Fabio Aru、イタリア)、ヴィンセンツォ・ニバリ(Vincenzo Nibali、イタリア)、そしてロマン・バルデ(Romain Bardet、フランス)ら優勝候補を倒す必要がある。

 今年のブエルタはフランスのニーム(Nimes)で開幕し、コンタドールの地元マドリード(Madrid)を周回する恒例の最終ステージで9月10日に閉幕する。(c)AFP/Kieran CANNING