【8月5日 AFP】第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)は4日、男子100メートル予選が行われ、ウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)が「最悪」のスタートを乗り越え、連覇に向けて順当に準決勝へ進出。一方、宿敵のジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)は、観客からやじを飛ばされながらのレースとなった。

 世界陸上で自身12個目のタイトル獲得を目指し、現役最後のシーズンに臨んでいるボルトは、同種目の予選6組で途中まで5位に出遅れていたものの、再度エンジンを点火して10秒07の1着でフィニッシュした。

 走り終えたボルトは「最悪だった。スタートでつまずいてしまった。あまり好みのスターティングブロックではない。これまで経験したなかで最悪だった。このままにはしておけないから、スタートを調整し直さなければならない。安定しないんだ。ウオームアップのときも(ブロックが)押し戻された。あまり慣れていないタイプのものだ」とコメントした。

 2012年のロンドン五輪と同じ会場となったロンドン・スタジアム(London Stadium)では、ボルトと過去にドーピング違反を犯したガトリンとの勝負が「善玉対悪玉」という触れ込みのレースとなったが、今大会も再びその構図となった。

 2013年に伊ローマ(Rome)で開催されたダイヤモンドリーグ(IAAF Diamond League 2013)の同種目で優勝し、ボルトに勝った最後の選手のガトリンは、この日スクリーンに顔が映されると会場からブーイングとやじが飛ばされていたが、予選5組では10秒05でトップ通過を果たした。

 スタジアムに6万人の観客が詰めかけるなか、戸惑った表情を浮かべながら急いでトラックを後にしたガトリンは「観客のことは気にしていない。スタートとレースに集中するだけだ。ここに来たのはチームメートや同胞と会い、そして楽しい時間を過ごすためだ」と話した。

 予選2組ではサニブラウン・アブ ドゥル・ハキーム(Abdul Hakim Sani Brown)が10秒05を記録し、ヨハン・ブレイク(Yohan Blake、ジャマイカ)を抑えてトップ通過。3位には中国の蘇炳添(Su Bingtian)が入り、5日の決勝ではアジア勢の活躍が期待されている。(c)AFP/Luke PHILLIPS