ダージリンの対立激化で紅茶不足深刻、収穫9割減 数年影響の恐れ
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【8月4日 AFP】(訂正)インド東部の紅茶の名産地、西ベンガル(West Bengal)州ダージリン(Darjeeling)で州政府と地元住民ゴルカ人(Gorka)の対立が深刻化し、特産品のダージリン茶葉が世界的な品不足に陥っている。
茶農園の労働者の多くを占めるゴルカ人は今年、西ベンガル州の新政府への反発から大規模なストライキに突入。6月の茶葉生産量は前年比90%もの激減となった。政府機関インド紅茶局(Tea Board India)によると、昨年は133万キロだった6月のダージリン茶葉生産量は、今年はわずか14万キロだったという。
茶葉の価格が20%以上値上がりするとの予測が広がる中、茶農園の中には生産の回復までに数年かかるとの見通しも出ている。シリグリ(Siliguri)の紅茶商業組合の会長は、ストライキがさらに数か月続けば「茶農園のほぼ半数が少なくとも2~3年は閉園せざるを得なくなる」と述べた。
茶農園の経営者らは、ストライキの影響で既に園内は雑草に覆われてしまい、繊細な茶の木に深刻な影響が出ていると指摘している。
今回の対立激化のきっかけは、州政府が州の学校にベンガル語を必修科目として義務付けると発表したことだ。ネパール語を母語とするゴルカ人は激怒。6月初旬から衝突や放火事件が相次ぎ、これまでに3人が死亡、商店や学校も休みになる事態が続いている。地元観光業も大打撃を受けている。
ダージリンでは19世紀から「ゴルカ人の国」の創設を求める動きがあり、1980年には衝突で1200人が死亡している。西ベンガル州の領域内にゴルカランド(Gorkhaland)という名の州の創設を求める「ゴルカ人民解放戦線(GJM)」は、ベンガル語を話す外部の人間がゴルカ人の資源を搾取し、ベンガル人の文化や言語を押し付けていると主張。8月8日を期限として、州政府に回答を迫っている。(c)AFP/Diptendu DUTTA