■イメージ悪化で収入は4割減

 中心街近くのホテルも状況は芳しくない。例えば開会式の直前に有名なコパカバーナビーチ近くに開業し、136室を有する四つ星のホテル・アレーナ・イパネーマ(Arena Ipanema Hotel)は、支配人を務めるドウグラス・ヴィエガス(Douglas Viegas)氏いわく「非常に深刻な稼働率の危機」に陥っている。

 閑散としたホテルのロビーで、ヴィエガス支配人は「75パーセントの稼働率を見込んでいましたが、現在は40パーセント前後。期待外れもいいところです」と嘆く。ホテルは料金をほぼ3分の2の値段に下げ、売り上げを増やそうとしており、ほかのホテルも日帰り客向けにプールなどの施設を提供し、客を呼び込もうとしている。

 ブラジルは全国で深刻な不景気が2年も続いているが、リオではそれに加えて凶悪犯罪も増加し、観光部門を大きく直撃している。ブラジル全国商業連合(CNC)が7月に出した研究報告によると、リオの今年1月から4月の観光収入は前年と比べて40パーセント、金額にして3億2000万レアル(約113億円)も落ち込んだが、これには犯罪率の増加が影響しているという。

 研究報告を担当者したファビオ・ベンテス(Fabio Bentes)氏は、「このままでは、リオの経済状況が改善する見込みは薄いでしょう。犯罪の増加は止まらず、短期的な解決策もありません。観光で最悪なのは、治安が悪いというイメージが付いてしまうこと。そうなれば、観光客は別の場所へ行こうということになります」と話す。

 サンパイオ会長は、問題はリオだけにとどまらないと話しており、「リオはブラジルの玄関で、この状況はいずれブラジル全土に波及する可能性があります。われわれは電車を乗り過ごしたのです。われわれは、完璧な組織運営がなされた五輪の良いイメージに乗っからなければならなかった」と述べた。 (c)AFP/Louis GENOT