■「私たちにはすべてが欠けている」

 カマラは海外のビッグファッションブランドや、ジュエリーブランドのランウェイを歩き、ラグジュアリーブランドの製品を売り込むことで得た貯金を切り崩して、「ティギ鉱業グループ(Tigui Mining Group)」を2010年に立ち上げ、母国での金の試掘における2つの権利を取得した。そして昨年、カマラはさらに「アフリカ西部における私の拠点」と呼ぶ、コートジボワールにおける金の採掘権を得た。

「私は自分が100%所有する鉱業会社のオーナーだ」。「ティギ」の創立者であるカマラは、大陸では珍しいことだと強調する。「女性のボスがいる南アフリカでも、ほとんどが共同経営という形だ」

 Guingouineの住人たちは、金が採掘できることが証明され鉱山が開くことになれば、大きな変化と利益が村にもたらされると夢を抱き始めた。「Guingouineとは(地元のヤクーバ語で)幸福を意味する。だが我々にはすべてが欠けている」と青と白の伝統衣装を身にまとった村長のアルフォンス・ドー(Alphonse Doh)は語る。「6つのクラスを持つ学校は電気が通っていない小屋だ。女性が出産する際は手押し一輪車で10キロ先の保健所に連れて行かなくてはならない」と説明する。

 村長にとって、鉱山を開くことで何千もの人たちの暮らしを変えられるチャンスだ。経済的利益の見込みのほかに、80%の女の子が読み書きができないこの地域で、カマラはロールモデルとなることを彼は望んでいる。

 その間で、「鉱業レディー」は村の女性たちを奨励して組合を組織させ、農機具と2つのソーラーパネルを供給した。「私たちはこの組合発足をとても嬉しく思っている」とGuingouineの女性組合を運営するエリス・パン(Elise Kpan)は語る。この組合は村人たちに「簡単に農作物をマーケットに出してお金を得ること」を可能にしたという。