■警戒信号は早い時期から

 クレメンツ氏と研究チームは、捕獲量全体の80%を占めた、イワシクジラ、ナガスクジラ、シロナガスクジラとマッコウクジラの4種を重点的に調査した。シロナガスクジラは地球上最大の動物だ。

 論文には「漁業による圧力は、クジラの個体群が崩壊するまで高い状態が続き、商業捕鯨の継続が困難になった時点で新たなクジラ種に移行した」と記された。

 イワシクジラ、ナガスクジラ、シロナガスクジラについては、捕獲数の急減が起きる20~30年前から体長の縮小が始まっていた。マッコウクジラについては、体長の縮小が20世紀のほぼ全体にわたって徐々に進行しており、年間捕獲数が急落する40年以上も前には既に明確に現れていた。「4種すべてに関して、警戒信号が早い時期に現れていた」と研究チームは指摘する。

 体長や他の身体的特徴の変化に基づくこの予測モデルは、高い漁業圧にさらされている魚や他の海生動物にも適用できる可能性がある。

 例えば、フカヒレの採取を目的として毎年数千万匹のサメが殺されているが、最上位の捕食者であるサメの体長が、局地的または世界規模の個体群の健全性に関する手がかりを提供する可能性がある。

 天然のカレイやヒラメ、サケ、ロブスターなども、こうしたアプローチから恩恵が得られるかもしれない。(c)AFP/Marlowe HOOD