【6月15日 AFP】米フロリダ(Florida)州最大の発電所「ターキーポイント(Turkey Point)」の外にある灰色の恐竜像は、廃炉となった火力発電用ボイラー2基を象徴するためのものだが、それはまた、増大するコストで崩壊しつつある原子力産業をも表していると見ることができる。

 約10年前、ターキーポイントは米国最大級の原子力発電所となること目指していた。所有する電力会社フロリダ・パワー・アンド・ライト(FPL)は、エネルギー源の多様化を維持し、爆発的な増加が予想される州人口への電力供給のために原子力発電の増強が必要だと訴え、そして原子力がクリーンなエネルギーであると大々的に宣伝した。

 だが現在、この発電所ではわずか3基が稼働しているのみだ。1970年代に建設された天然ガスのボイラー1基と原子炉2基だ。州の公益事業委員会に提出された文書によると、さらに原子炉2基を建設する計画が2009年に出されているが、少なくともこの4年間は実質的に保留となったままだ。

 今年、東芝(Toshiba)の子会社である米ウェスチングハウス(Westinghouse)が破産法を申請し、業界は混乱に陥った。同社が製造する原子炉「AP1000」は、ターキーポイント以外でも、サウスカロライナ(South Carolina)州やジョージア(Georgia)州の発電所でも導入が予定されていた。各施設でのプロジェクトは数年の遅れが発生し、予算も大幅にオーバーしている。

 再生可能エネルギーを推進する団体「クリーンエネルギーへのサザン同盟(Southern Alliance for Clean Energy)」の推定によると、ターキーポイントの増強工事は最短で2028年までの遅れがでており、また建設費も200億ドル(約2兆2000億円)を超えるまでに膨れ上がると予想されている。