【6月15日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は15日、先進国で暮らす子どもの5人に1人が相対的貧困状態にあるとする報告書を発表した。若者の幸福度に関しては、米国とニュージーランドが下位に入っている。

 ユニセフのイノチェンティ研究所(Innocenti Research Center)が発表した調査報告書「レポートカード(Report Card)」は、高所得国41か国を対象に、教育、メンタルヘルス、アルコール依存症の有無、経済的機会、環境といった要因を考慮した上で、若者の総合的な幸福度を順位付けしたもの。

 レポートカードによると、先進国で、安全で栄養価の高い食料を十分に手に入れることができない子どもは13%近くに上り、米国や英国ではその割合は20%に達している。

 イノチェンティ研究所のサラ・クック(Sarah Cook)所長は、「高所得が必ずしもすべての子どもの生活改善につながるとは限らない。実際、格差が拡大している恐れもある」とした上で、「すべての国の政府が確実に格差を縮小し、進歩を実現させる措置を講じなければならない」と述べている。

 レポートカードの順位付けでは、北欧諸国とドイツが最上位に入る一方、ルーマニア、ブルガリア、チリといった国々が下位を占めた。米国は41か国中37位、ニュージーランドは34位だった。

 米国は貧困、飢餓、健康、教育、格差に関して相対的に低評価だった。一方のニュージーランドは、思春期のメンタルヘルスに関して特に評価が低い。同国の15~19歳の自殺率は世界で最も高く、調査対象となった先進国平均のほぼ3倍に上る。

 メンタルヘルスの問題を訴える若者の数は、調査対象国の大半で増加しており、こうした国々では若者の肥満率も上昇している。

 教育レベルに関しては、上位に順位付けされた日本やフィンランドですら、15歳の約5人に1人は基礎学力に達しておらず、同報告書は不利な立場に置かれた子どもたちの支援に一層注力していかなければならないと呼び掛けている。(c)AFP