中国の経済戦争、新兵器は貿易のアメとムチ
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■観光から食品、資源まで
世界第2位の経済大国で、貿易規模では世界のトップを行く中国は、ある種の輸入を阻止することで痛みを与えることもできる。
ソウル(Seoul)を拠点とする旅行代理店「韓国中国国際観光(Korea-China International Tourism)」はここ数か月で売り上げが85%落ち込んだとしている。THAAD配備に対する中国の怒りが原因だと言う。以前は月間4000人の申し込みがあった観光客の大半は中国人だったが、中国政府が韓国への団体旅行を禁止して以来、申し込みは500人程度まで減ってしまった。台湾への観光旅行もまた2国間関係が悪化しているため、急速に落ち込んでいる。
ノルウェーは痛い目に遭ってこの教訓を学んだ。ノルウェー・ノーベル委員会(Nobel Committee)が2010年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を獄中にいる中国の反体制派作家、劉暁波(Liu Xiaobo)氏に授与したことを受けて、中国はノルウェー産のサケ輸入を停止した。ようやく関係が正常に戻ったのは今年の4月、ノルウェー政府が「一つの中国」原則を受け入れ、中国の領土保全を尊重すると約束した後だった。
モンゴルも昨年11月、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世の訪問を許可して中国政府の怒りを招いた。中国はモンゴルに対し処罰的措置を取り、石炭輸送トラックが中国国境を越えるのを阻止したと報じられた。
他方、中国の要求に屈した国々は見返りを得ている。
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は昨年10月、中国訪問中に米国との「決別」を宣言し、中国寄りの方針を確約した。すると、南シナ海(South China Sea)問題でのフィリピン政府の姿勢を罰するために科されていた同国のトロピカルフルーツ輸出業者27社に対する禁輸措置が解除された。
香港浸会大学(Hong Kong Baptist University)政治学部のジャン・ピエール・カベスタン(Jean-Pierre Cabestan)学部長は「一種のアメとムチ政策」だと語る。「皮肉なのは中国はこういうやり方を批判してきたのに、今や力をつけ、それができるようになると、自らが同じことをするのにちゅうちょしなくなったことだ」
専門家らは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が進める「米国第一」主義による同国の後退で生じた隙間を埋めようとして、中国がさらに強引になるとさえ予想している。チャイナ・マーケット・リサーチのレイン氏は「(アジアの)小さな国々は、トランプ政権が彼らを支援してくれるとは思っていない」と語った。(c)AFP/Allison JACKSON