【5月11日 AFP】カンボジアに生息する淡水ガメ、ロイヤル・タートルの子ガメが9匹誕生し、絶滅の危機に直面しているこの爬虫(はちゅう)類種の未来に希望の光が差している。自然保護団体が10日、明らかにした。

 カンボジア国内唯一のロイヤル・タートルの生息地、南西部コーコン(Koh Kong)州の川沿いの砂地で3か月前、卵が14個ある巣を村民が発見した。9匹の子ガメは今週、この巣の卵からふ化した。

 カンボジアのロイヤル・タートルは一時、絶滅したと考えられていたが、2000年にスレアンベル(Sre Ambel)川でわずかに生息していることが確認された。

 米野生生物保全協会(WCS)とカンボジア政府はそれ以降、巣を探して保護するため、元々は食用にする卵を集めていた人々を雇い入れる計画を実施し、ロイヤル・タートル保護の取り組みを懸命に続けてきた。ロイヤル・タートルという名前は、歴史上カンボジアの王族だけがその卵を食べることができたことに由来している。

 WSCの声明によると、新たに誕生した子ガメ9匹は近隣の保護センターに収容され、そこで約200匹の他の子ガメとともに「給餌と飼育、そして将来的に可能であれば繁殖」が行われる予定だという。

 一方でWSCは、川砂の浚渫(しゅんせつ)、違法な森林伐採や漁業などは野生個体数の少ないロイヤル・タートルにとって依然として重大な脅威となっていると警鐘を鳴らしている。

 WSC技術顧問のソム・シサ(Som Sitha)氏によると、ロイヤル・タートルの巣は2015年に3個、2016年に2個発見されたのに対し、今年はまだ1個しか見つかっていない。

「これは、ロイヤル・タートルの保護にとって大きな懸念材料だ」と、シサ氏は続けた。

 アジアで最も貧しく、最も汚職がまん延している国の一つのカンボジアに生息する多くの生物種は、森林伐採と密猟によって大きな打撃を受けている。(c)AFP