■現実と夢の境界線

 町一番の美しい女子高校生の殺人事件を中心に展開する「ツイン・ピークス」の第1シーズン(全8話)は、映画レベルのクオリティーを携えた新たなテレビ番組のあり方を提示し、時代を先取りする存在となった。しかし、第2シーズン(全22話)の途中で真犯人が判明してしまうと、その後の注目度は徐々に下がっていった。それでも人気シリーズの続編放送は、今年のテレビ界における大注目イベントとなっている。

 リンチ監督との会見のために、米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)のサンセット・ストリップ(Sunset Strip)にあるホテルに集まったジャーナリストらは、「プロット、ストーリー展開、登場人物、場所」には触れないように指示された。新シリーズに関する一般的な質問でさえも簡潔な応答しかなく、会見の質疑応答では大まかな方向性が示されるのみだった。

『イレイザーヘッド(Eraserhead)』や『ブルーベルベット(Blue Velvet)』など、リンチ監督の作品では、不気味で明晰な夢と現実との境界線が曖昧だ。

 監督自身とのインタビューでも同様の感覚に陥る。

 リンチ監督は、「アイデアというのは魚みたいなものだ。魚が欲しいと思ったとする。そうしたら、餌を釣り針に付けて水中に投げ入れてじっと待つ。驚いたことにアイデア──いや、魚か…が泳いできて、それを手に入れられる」と自分の映画作りの哲学を語った。

「その次は、その魚が好きか…良いアイデアと思うか、だ。もし大好きなら、その小さな魚はとても大切なものになる」