【3月30日 AFP】(更新)米ノースカロライナ(North Carolina)州議会は30日、同州の公共施設でトランスジェンダーの人々に出生証明書に記載された性別に合わせたトイレ使用を義務づける州法を撤回し置き換える法案を可決した。だが人権団体からは、新法は州レベルでの保護策に欠けていると批判する声が上がっている。

 保守傾向の強い南部のノースカロライナ州で2016年3月、共和党所属の前知事の署名により成立した州法「HB2」(通称トイレ法)は、全米の保守派とリベラル派の間のより広範な「文化戦争」の焦点となった。

 同法には差別的だという批判が集中し、同州のビジネスは多くのボイコットの対象となり、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)さんをはじめとするミュージシャンの公演や大規模なスポーツイベントがキャンセルされた。

 共和党の議員らと民主党のロイ・クーパー(Roy Cooper)現州知事は29日、同州法を撤回する方向で合意に至っていた。新法はクーパー知事の署名を経て成立する見込み。

 しかし、可決された代替法案は保守派への譲歩が含まれており、人権団体からの猛反発を生んでいる。新法案では、公衆トイレに対する規制を制定する独占的権限が2020年12月まで州政府に与えられ、市町村当局が独自の反差別法を制定することが不可能になる。

 人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(Human Rights Campaign)」のキャスリン・オークリー(Cathryn Oakley)氏は「この法案は解決策を装っているが、その実態は極端な差別認可だ」と非難し、同法案を支持する議員は「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人々の味方ではない」と断じている。(c)AFP