【3月22日 AFP】中東クウェートの映画館チェーン大手クウェート・ナショナル・シネマ・カンパニー(KNCC)は21日、同国で先週公開されたディズニー(Disney)の人気新作映画『美女と野獣(Beauty and the Beast)』の上映禁止を決めたと発表した。「若い観客に対する会社の責任」に沿った決定だと説明している。

 ディズニーのアニメ作品を「ハリー・ポッター(Harry Potter)」シリーズのエマ・ワトソン(Emma Watson)主演で実写化した同作では、悪役ガストン(Gaston)の子分ルフウ(Le Fou)が男性同性愛者として描かれ、ディズニーが公認した初の同性愛キャラクターとなると同時に、世界各地の宗教団体からの反発を呼んでいた。

 同作の「同性愛シーン」に対しては、イスラム圏の一部諸国でも批判が噴出。同作は保守的なイスラム教国であるクウェート国内で16日に公開されていたが、KNCCはその4日後、内容を再確認するとして上映を中止していた。

 一方でディズニーは21日、イスラム教徒が多数を占めるマレーシアで同作がノーカットで上映される見通しになったと明らかにした。同国当局は当初、一部シーンの削除を要求していたが、ディズニー側がこれを拒否していた。

 同社東南アジア担当の広報担当者がAFPに電子メールで明らかにしたところによると、同作は今月30日にマレーシアで公開される見通し。ただ、13歳未満の鑑賞に保護者の注意が必要であることを指す「PG-13」に指定されるという。

 同性愛シーンをめぐり揺れる同作だが、公開直後から既に記録的な大ヒットを飛ばしている。20日発表の興行成績によると、週末の興行収入は世界全体で3億5700万ドル(約400億円)、北米で1億7570万ドル(約196億円)に達した。(c)AFP