■孤立する援助活動

 ノルウェーの首都オスロ(Oslo)で今週23、24日に開催される支援国会合では、国連がナイジェリアと周辺国のカメルーン、チャド、ニジェールへの援助として、総額10億ドル(約1130億円)の拠出を呼び掛ける見込みだ。この巨額は援助の提供手段に大きな課題があることを物語っている。

 安全上の理由から、どの援助機関もディクワに1日以上滞在することができない。緊急時でも2日が限度だ。ボルノ州の州都マイドゥグリ(Maiduguri)から現地へ向かうには、道路はいまだ危険過ぎるためにヘリコプターを使うしかない。

 規模の大きい非政府組織(NGO)から委託されてディクワで活動している人道支援団体も複数あるが、委託元のNGOによる訪問
がない間は実質、孤立している。

 車が不足しているために町を回るには誰もが軍に頼っている状態で、避難民の1か月分の食糧をトラック50台で運ぶのさえ、軍の助けが必要だ。だが適切な監督がないために、食糧が全員に行き渡らないことがよくある。

「ここでの活動で私たちは、人道支援機関としての原則に反することを数多く強いられている」と、ある援助隊員はAFPに語った。「だが単純に、現時点で私たちには選択肢がない。状況は危機的過ぎる」

 過密状態にあるディクワの避難キャンプの一つで、国際移住機関(IOM)の委託を受けて援助活動を行っているアミナ・モハメドさんは、衛生管理の啓発に努めている。「この場所をきれいに保って、体を洗いなさいと言っている。でも彼らがこの1か月、石けんを見てもいないことは分かっているし、飲み水さえ十分にない」と、モハメドさんは言う。

 穴の開いた汚れた服を着た大勢の子どもたちに向かって、モハメドさんは「蚊を殺そう、殺そう」という歌を教え、楽しませている。彼女がおどけて自分の腕をたたいてみせると、子どもたちは笑い転げた。「私たちはここにあるものの範囲でどうにかしようとしている」と彼女は笑顔で語った。だが、ディクワにあるものは限られている。(c)AFP/Sophie BOUILLON