【2月23日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のカーニバルに合わせて同国の主要テレビ局グロボ(Globo)は毎年、同局のカーニバル放送を宣伝するためのコマーシャルにダンサーを起用するが、24日に始まる今年のカーニバルの特番のCMに視聴者は衝撃を受けた──ダンサーが「服を着ていた」からだ。

 グロボのダンサーは、局名とポルトガル語で「美」を意味する「ベレーザ(beleza)」を掛け合わせた「グロベレーザ(Globeleza)」と呼ばれているが、グロベレーザには毎年、若くて美しく肌の色が濃く、サンバのうまい女性が選ばれる。カーニバル放送の合間には、このグロベレーザが腰をくねらせて踊る絶妙なCMが挟まれる。

 1991年の初代グロベレーザ以降、彼女たちはほぼ全裸で、身に着けているのはハイヒールとスパンコールやキラキラしたボディーペイントのみ。それすらほとんどない年さえあった。

 しかし先月発表された今年の映像では、グロベレーザのエリカ・モウラ(Erika Moura)さんは、なまめかしいながらも足首丈まである民族衣装を着ていた。ブラジル国内のニュースは一斉に「史上初、服を着たグロベレーザ」「グロベレーザに服を着せたのは誰?」といった見出しで書き立てた。

 カーニバルに向けて参加者たちはリハーサルに余念がないが、グロベレーザの新しい装いは、ブラジルにおける倫理観の変化を示す兆候の一つでしかない。

■新市長「カーニバルには行かない」

 昨年のリオデジャネイロ市長選でブラジル全体の保守化の波に乗って勝利したマルセロ・クリベラ(Marcelo Crivella)氏は、キリスト教福音派の聖職者だ。カーニバルには出席しないつもりだと報じられている。毎年約100万人の観光客が集まる一大イベントに市長の姿がないというのは、奇妙に見えることだろう。

 人権活動家は以前から、グロベレーザのヌード姿は黒人女性を性的対象と見なすイメージを助長するとして批判の声を上げてきた。活動家らがさらに憤慨したのは、2014年のグロベレーザをめぐる出来事だ。グロベレーザに選ばれたダンサーが、肌の色が濃過ぎるとしてソーシャルメディア上で批判され、グロボは翌年、肌の色がもっと明るいモウラさんを起用した。