【2月21日 AFP】エジプト北部のサッカー競技場で2012年に発生しサポーター74人が死亡した暴動事件の裁判で、同国の破棄院(最高裁に相当)は20日、被告10人に対し下級裁が出していた死刑判決を支持し、刑を確定させた。事件は当時、国内でさらなる暴力行為が起きるきっかけとなった。

 同国北部ポートサイド(Port Said)のサッカースタジアムで2012年2月、同国プレミアリーグの地元チーム、アル・マスリ(Al-Masri)と、首都カイロ(Cairo)のアル・アハリ(Al-Ahly SC)との対戦後にサポーター同士が衝突して発生したこの暴動は、スポーツ関連の暴力行為としては同国史上最多の死者を出す事件となった。

 当局から頻繁に暴力行為の元凶とみなされている過激なサポーター集団「ウルトラス(Ultras)」は、長期政権を敷いたホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)元大統領を退陣に追い込んだ2011年の民衆蜂起でも急先鋒に立っていた。

 この暴動は、民衆蜂起後の情勢不安を決定付ける事件の一つとなった。カイロでは暴動後に行われたデモが暴力行為に発展し、治安当局との衝突で16人が死亡した他、ポートサイドでも数十人が死亡した。(c)AFP