■仕事とボランティアの合間に学位を取得

 多くの学位は普段の仕事やイタリア赤十字社(Red Cross)でボランティアをしながら取得した。最も難しく、他のケースとは異なっていたのは、トリノ大学(Turin University)で軍事戦略学の学位を取得したときだ。国防省との提携によるコースで、国家安全保障に関わる機密事項を扱ったという。試験の際には「制服を着なければならなかった」と、バイエッティさんは衣装だんすにつるしてあった軍服を見せてくれた。

 修士号を取った犯罪学で受刑者と面談したことも鮮明に覚えているという。「彼らの話を聞くうちに、自分でも驚くようなことが時々起きた。彼らの言い分に納得させられ、善悪の違いについて考えるようになった。すっかり軸がぶれてしまっていることに気付いたよ」

 バイエッティさんが次に目指しているのは、食品科学の学位。再び、外の世界が寝静まっている間に卓上スタンドの明かりの下で教科書に没頭しようとしている。

「この時間帯なら、脳が知識をより吸収しようとするし、家族との生活もいつも通り送れるから」とバイエッティさんは笑った。(c)AFP/Franck IOVENE