【2月12日 AFP】「愛の国」フランスで、バレンタインデーの恋人たちに最適な商品が登場した。ハート形のカキだ。仏南部ラングドック(Languedoc)地方でカキ養殖業を営むクリストフ・ギノー(Christophe Guinaut)さんが約10年をかけて養殖に成功した。

 ギノーさんがハート形のカキを養殖しようと思ったきっかけは妻からの贈り物だった。「ある日、妻がハートの形をしたカキを私にくれたんです。偶然そんな形になったものでしたが、私はそのカキにとても感動したんです」

 以来、ギノーさんは地中海(Mediterranean Sea)沿岸のポール・ルカート(Port-Leucate)で試行錯誤を重ねた末、少量ながらも、カキをロマンチックな形状に育て上げる手法を完成させた。愛から生まれたギノーさんの無償の努力が報われ、ハート形のカキは地域の一流レストランでバレンタインデーの特別料理として提供されるようになった。さらに、レストラン・ホテルの格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で三つ星を獲得し、英レストラン業界誌「レストラン(Restaurant)」でも2015年のベスト1に選ばれたスペインの「エル・セレール・デ・カン・ロカ(El Celler de Can Roca)」をはじめとする超一流レストランも、ハート形のカキを求めてギノーさんのもとを訪れる。

 ギノーさんによればハート形のカキを作るには3倍以上の手間がかかる。しかし、ギノーさんはハート形のカキも他のカキと同じ値段で販売しているという。「お金のために作っているわけではないから」とギノーさんは語る。「カキを注文した人たちが、私が妻にハート形のカキをもらったときと同じ喜びを感じてくれると想像するのが楽しいんですよ」(c)AFP