■ファーストレディー像

 コネティカット・カレッジ(Connecticut College)のマリアン・ボレリ(MaryAnn Borrelli)政治学教授は「ファーストレディーは大抵、自分の政策課題を3月または4月に公表して、大統領の就任100日の政策を補強する」と言う。

 そうとはいえメラニア夫人の場合は、ミシェル・オバマ(Michelle Obama)前大統領夫人とジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)元大統領夫人を称賛し、ネット上のいじめ問題に取り組む可能性について言及した以外、自分が目指すファーストレディー像についてはほとんど示していない。

 トランプ大統領の就任以来、彼女のフェイスブック(Facebook)とツイッター(Twitter)の公式アカウントの更新は1回だけで、1月21日に自身がファーストレディーとして務めることを「心から光栄に思う」と投稿したきりだ。

 現時点で米国民のメラニア夫人に対する評価は低い。彼女が大統領選中に行った演説でミシェル夫人のスピーチを盗用して嘲笑されたのは記憶に新しいし、トランプ大統領の不支持率の高さも関係している。だが彼女自身が表舞台に出なければ、人気の回復は見込めないだろう。

 その一方でボレリ氏は、メラニア夫人の不人気は珍しいことではないと指摘する。「新しいファーストレディーがホワイトハウスに入るときは支持者もいれば疑念の目を向ける人もいる。そうした中で社会的な活動を行っていくために、支持を後ろ盾にしながら疑いの目にうまく対処していくことが仕事だ」

 ミシェル夫人は初のアフリカ系米国人のファーストレディーだったために、またヒラリー夫人やエレノア・ルーズベルト(Eleanor Roosevelt)元大統領夫人は「従順な主婦」というステレオタイプに挑戦したために、最初は厳しい批判を受けた。

 他方で、21世紀の現実を反映し、独立したファーストレディーが誕生するときだという声もある。今日の米国人女性は「誰かの妻」「夫人」ではなく一個人として社会で活躍している。

 メラニア夫人が今後も表舞台を避け続ければ、彼女はファーストレディーに長年はめられてきた足かせを外した「改革者」として評価されるかもしれない。

 このことについて、オハイオ大学(Ohio University)のキャサリン・ジェリソン(Katherine Jellison)歴史学教授は「次の大統領夫人に対する期待値は低くなるだろう。彼女は(メラニア夫人のおかげで)完璧な妻や母としてのロールモデルになる必要がないのだから」と話した。(c)AFP/Jennie MATTHEW