【2月2日 AFP】南アフリカ北部ハウテン(Gauteng)州で昨年、当局が精神科病院の患者を経費節減のため無免許の医療施設に移送した結果、少なくとも94人が死亡していたことが1日分かった。政府が公表した調査報告書で明らかになったもので、国内で衝撃が広がっている。

 保健担当の監察官(オンブズマン)がまとめた報告書によると、患者らは「設備が不十分な」27か所の施設に突如移送された。亡くなった人の多くは肺炎や脱水症状、下痢が原因だったという。

 保健監察官のマレガププ・マゴバ(Malegapuru Makgoba)氏は地元メディアに対し、死亡した94人について「精神病関連の病気で亡くなったのは1人だけだ。(他の)93人は精神病で亡くなったのではない」と指摘。調査は現在も続いており、死者はさらに増える恐れが高いと語った。

 報告書によると、患者の一部は移送される際、ほろの無いピックアップトラックに乗せられた。そして「家畜の競り市場」のような方法で選別されて連れて行かれ、その後、複数の施設を行ったり来たりさせられることも多かった。

 患者の親族らは移送先を知らされず、患者の中には過密状態で暖房設備もない施設で死亡した人もいた。これらの施設は「強制収容所」のようだったとの証言も上がっている。

 患者の移送に直接関与した州保健相は辞意を表明した。野党・民主同盟(DA)は政府を強く非難し、関係者の刑事責任を問うべきだと主張している。(c)AFP/Ben Sheppard