■トランプ氏の壁とはどのようなものか

 トランプ氏の大統領令はこの壁を「切れ目のない物理的な壁、もしくは類似の頑丈で切れ目がなく通り抜けることのできない物理的障壁」と定義している。

 ひところトランプ氏が求めていた組み立て式の鉄筋コンクリート板は重い素材で、輸送に大きな難点があった。この材料を使うには現地までの道路を舗装し、コンクリートを打つための多数の現場を設置し、何年にもわたって大勢の労働者を雇わなければならない。

 壁には安定性を確保し、トンネルを掘る気をそぐだけの十分な深さを持つ基礎も必要になる。

■壁建設のその他の障害

 米テキサス(Texas)州とメキシコの自然的国境となっているリオグランデ(Rio Grande)川を例にとってみると、法は洪水管理を妨げたり、資源の共有を妨害したりするものの建築を禁じている。条約によって米、メキシコのどちらの国も川の流れを変えることを禁じられている。

 さらに国境沿いの土地の大半が私有地なので、壁の建設には煩雑な法的手続き、政治的反動、相当な額にのぼる土地収用費用といった問題もついてまわる。

■壁建設計画に対する米国人の反応

 米国人はこの壁によって真っ二つに分断されているようだ。米政治サイト「ポリティコ(Politico)」と米調査会社「モーニング・コンサルト(Morning Consult)」が25日に公表した合同世論調査によると、壁建設に有権者の47%が賛成、45%が反対している。

 壁建設は無意味だと批判する人もいる。特筆すべきは米国に密輸されている麻薬のほとんどが合法的な入国地点から入ってきており、砂漠を通って入ってきているわけではない点だ。

 壁建設の目標が不法移民を締め出すことだとしても、ワシントン・オフィス・オン・ラテン・アメリカによると、不法移民の流入数はすでに1970年代水準にまで下がっている。(c)AFP