■次なる段階へ

 皮膚科専門医は自身の訓練と経験に基づいて皮膚を調べ、がんの兆候がないかを診断する。病変が発見された場合、次のステップでは通常、皮膚鏡と呼ばれる手持ち式の顕微鏡でさらに詳細に調べる。診断の最終段階では、検査室で検査するための皮膚サンプルが採取され、生体組織検査を行う。

 今回の最新ソフトウエアで使用されている2000種以上の皮膚疾患の画像は、インターネットから収集され、皮膚科専門医による入念なチェックを経たものだ。

 研究チームは、370枚以上の画像でがん性と非がん性の病変を識別する診断テストをソフトウエアと皮膚科専門医21人とに行わせた。その結果、双方が同等の好結果を示した。

 次の段階はスマートフォン版を開発することだと、研究チームは述べている。

 米オレゴン健康科学大学(Oregon Health and Science University)のサンシー・リーチマン(Sancy Leachman)氏と米国立がん研究所(NCI)のグレン・メルリーノ(Glenn Merlino)氏は、ネイチャー誌に同時掲載された解説記事で、この種のスマートフォンアプリによって「既存の医療システムで対応可能な人数よりも多くの人々に、簡単で効果的、そして低コストの医学的検査を提供できるかもしれない」とコメントしている。

 両氏は、「スタートレックが提示した未来像では、宇宙船エンタープライズ号(Enterprise)のジェームズ・カーク(James T. Kirk)船長や他の乗組員の病状を調べるために(ドクター・マッコイが)トリコーダーとして知られる携帯用の診断機器を使う様子が描かれていた」としながら、「その当時は非現実的だったが、人間の病気を非侵襲的に診断する機能を備えた機器が現実のものとなりつつある」と続けた。(c)AFP/Marlowe HOOD