【1月20日 AFP】米首都ワシントン(Washington D.C.)郊外で19日行われた大統領就任式前日の恒例行事に当たり、ファーストレディーとなるモデル出身のメラニア・トランプ(Melania Trump)夫人(46)が無名に近いヒスパニック系デザイナーの衣装を選び着用した。

 夫ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の次期米大統領就任を祝う最初の行事となったアーリントン国立墓地(Arlington National Cemetery)への訪問時、メラニア夫人はニューヨーク(New York)出身のデザイナー、ノリソール・フェラーリ(Norisol Ferrari)氏による黒いひざ丈コートを着用。欧州高級ブランド好きで批判を受けてきたメラニア夫人にしては珍しい選択だった。

 就任式でのメラニア夫人への衣装提供については、トランプ氏の対立をあおる政治姿勢を理由に拒否するデザイナーが相次いだ。そのため、大統領就任式で夫人が選ぶ衣装がこれまでよりいっそう注目を浴びている。

 メラニア夫人の衣装を担当することになったフェラーリ氏は、米国でコロンビア系とベネズエラ系の家族の下に生まれた。父親は退役軍人で戦傷者だという。

 フェラーリ氏は米ファッション業界紙WWDに「わが国が、怒りの少ない国になれたらいい」と語り、メラニア夫人との仕事をボイコットするデザイナーには賛成しないと述べた。さらに「私はどんな差別にも絶対に反対している。彼女(メラニア夫人)に自分の声を上げさせてあげたいと思う。私にとって大事なのは、とにかく女性に力を与えること」と語った。

 またフェラーリ氏「トランプ夫人のアーリントン訪問は特に私の心を打った。私の実父は戦傷者で、彼の体験や一生負っていた障害は、私の家族に深い影響を与えた」と述べた。

 一方、昨年の大統領選では、ファッション界の大半はトランプ氏の対立候補だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官への支持を表明していたが、フェラーリ氏は大統領選で誰に投票したかは明かさなかった。

 フェラーリ氏は今回自分が採用されたことに感謝を示し「私は独立したデザイナーで、女性実業家であり、移民1世代目の少数派の女性。ファッション界では女性は通常、こういう機会を得にくい。こんな美しい女性に着てもらうことができて非常に幸運だ」と述べた。(c)AFP