【1月19日 AFP】米国で今月27日に公開が予定されているデニス・クエイド(Dennis Quaid)主演の映画『A Dog's Purpose』の制作現場で捉えられた、怖がった様子の犬を激流渦巻くプールに無理やり入れようとする動画が公になり、愛犬家たちが18日、この映画のボイコットを呼び掛けた。

 芸能情報サイト「TMZ」が公開したこの動画は、2015年に撮影されたもの。動画には流れの激しいプールのそばで、ジャーマンシェパードが人の手から必死に逃れようとしている姿が捉えられていた。

 動画では「(犬は)水に入るまで落ち着かないよ、投げ入れてみなよ」という声も確認でき、ジャーマンシェパードはプールサイドでもがいた後、プールの中に無理やり突き落とされた。

 およそ1分間のこの動画は、映画の制作が行われていたカナダのウィニペグ(Winnipeg)近郊で撮影されたもので、プールサイドまで流された後、水面下に消えた犬を救おうと、撮影スタッフらが慌てて駆け寄る場面で終わっている。

 この動画に対し複数の動物愛護団体は激しい怒りを表明し、映画のボイコットを訴えた一方、ソーシャルメディア上でも多くの人が怒りの声を上げた。

 AFPの取材に応じた、動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」の副代表を務めるリサ・ラング(Lisa Lange)氏は、「PETAは、犬などの動物が映画の小道具としてではなく、思いやりをもって扱われるべきとのメッセージを伝えるため、愛犬家たちにこの映画をボイコットするよう求める」と述べた。

 一方、この映画の監督を務めたラッセ・ハルストレム(Lasse Hallstrom)氏はツイッター(Twitter)で、自身はこの出来事を目にしていなかったとした上で、この動画に動揺していると投稿。「映画に登場するすべての動物たちに対して、心が行き届いた、安全な環境を与えるよう尽力した」と説明し、徹底的な調査と、不適切な行為に携わった関係者全員を処分するとの確約を得たと述べた。

 また、制作会社のアンブリン・エンターテインメント(Amblin Entertainment)と配給会社のユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)からはコメントが得られなかったものの、両者が地元メディアに発表した共同声明によると、制作チームは動物たちの安全を確保するため「厳しい規定」に従っていたと釈明。混乱の渦中に巻き込まれた「ハーキュリーズ(Hercules)」という名のジャーマンシェパードは「元気で健康である」と付け加えた。(c)AFP