【1月5日 AFP】金色に輝く「メラニア・ケーキ」に、「ホワイトハウス(White House)」と命名されたスリッパ――東欧スロベニアで、次期米ファーストレディーのメラニア・トランプ(Melania Trump)夫人にあやかったビジネスが活況を呈している。故郷を飛び出しモデルとして世界各地で活動した足跡をたどる観光ツアーも登場。今やメラニア夫人はスロベニア随一の有名人だ。

 アルプス山脈の麓にあるスロベニアは、国土面積では米ニュージャージー(New Jersey)州にも満たない小国だが、米国人観光客の人気旅行先として注目を集めている。スロベニア観光協会(STB)によると、同国への関心はドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が大統領選に立候補して以降うなぎ登りだという。

 今月20日にトランプ氏が大統領に就任すれば、さらに大きな観光ブームが起きるはず――STBやメラニア夫人の故郷セブニツァ(Sevnica)では、期待が高まっている。

 セブニツァは首都リュブリャナ(Ljubljana)から約100キロ離れた、サバ(Sava)川のほとりにある人口5000人の小さな町だ。これまで知名度のあるものといえば、下着や家具の工場と900年の歴史をもつ城だけで、1970年にこの町で生まれ、10代で世界へと羽ばたいていった少女メラニア・クナウス(Melanija Knavs)を覚えている人もほとんどいなかった。

 だが今、セブニツァの目抜き通りにあるパン店では、金色の飾りが乗ったナッツ入りのホワイトチョコレートケーキが「メラニア」と名付けられ、1切れ3ユーロ(約370円)で売られている。郊外の森にあるレストランでは、地元で取れたマスを主役にしたコースメニュー「メラニア」を提供中。野生種のブルーベリーにバニラクリームをかけ、金粉をまぶした「メラニア・パンケーキ」を考案した店もある。

 地元の旅行会社は3月から、セブニツァ、リュブリャナ、そしてメラニア夫人がモデルとしてのキャリアをスタートしたイタリアのミラノ(Milan)を巡るツアー旅行プランを開始予定。また、地元の履物メーカーは高級羊毛スリッパを「ホワイトハウス」の商品名で限定発売した。既にメラニア夫人にも贈呈済みで「この冬は、このスリッパで暖かく過ごしてほしい」と広報担当者は話している。

 しかし、トランプ夫妻はメラニア夫人の名を冠した便乗商品が次から次へと登場することをあまり歓迎してはいないようだ。夫妻は最近、スロベニア国内で弁護士を雇用。2人の名前や肖像を本人の承諾なく商業目的で利用することを阻止する構えに出た。

 これを受け、セブニツァ町議会はメラニア夫人の写真をあしらった広告を取り下げた。地元産の蜂蜜の瓶ラベルからは「メラニア夫人の庭で採れた」のうたい文句が消滅。ピザ店が提供していた「トランプ・ハンバーガー」は、「大統領のハンバーガー」に名称変更となった。ただ、マスカルポーネチーズとイチゴのムース「メラニア」は今も同じ名前でメニューに載っている。(c)AFP/Bojan KAVCIC