【1月3日 AFP】(更新)ブラジル・アマゾナス(Amazonas)州の州都マナウス(Manaus)の刑務所で1日、犯罪組織同士の抗争に端を発した暴動が発生し、受刑者56人が頭部を切断されるなどして死亡、144人が脱走した。当局が2日発表した。

 同州公安局のセルジオ・フォンテス(Sergio Fontes)局長によると、暴動は同市の外れにあるアニジオ・ジョビン(Anisio Jobim)刑務所で1日午後に始まり、夜通しで17時間続いた。

 同州公安局は当初、死者数を60人としていたが、後に56人に訂正した。フォンテス局長は、同州の刑務所で発生した中では「過去最大の大虐殺」だったとしている。

 同刑務所構内には複数のトンネルが見つかった。施設の外では重武装した警察が、そのトンネルを通って脱走した受刑者らの追跡に当たった。

 同州公安局によると、同刑務所からは112人の受刑者が脱走。さらに近隣の刑務所からも72人が脱走した。うちこれまでに身柄を拘束されたのはわずか40人という。

 フォンテス局長によると、警察が事態を収拾できたのは2日朝になってからで、その際人質に取られていた看守12人が解放された。暴動後の刑務所内部は壮絶な様相で、「多数(の犠牲者)が斬首され、全員が激しい暴力を受けていた」という。

 フォンテス局長はこの残虐行為について、地元で勢力を持つ犯罪組織「ファミリア・ド・ノルト(北の家族、FDN)」が、同州から南東へ約2700キロ離れたサンパウロ(Sao Paulo)を拠点とする同国最大のギャング団の一つ「首都第一コマンド(PCC)」に対してメッセージを送る狙いがあったという見方を示している。

 同局長は地元ラジオ局に対し、「(暴動終結を目指す)交渉の最中、受刑者らはほとんど何も要求しなかった」「われわれは、(暴動を起こした者らが)敵対組織の構成員らを殺害するという目的を既に達成していたとみている」と述べた。(c)AFP