【12月29日 AFP】自転車ロードレースのブラッドリー・ウィギンス(Bradley Wiggins、英国)が28日、現役引退を表明し、英国史上最高のスポーツ選手としてのキャリアに終止符を打った。

 36歳のウィギンスは、2012年のツール・ド・フランス(2012 Tour de France)で英国人として史上初の総合優勝を飾り、ロードレースとトラックを合わせて、五輪では5個の金メダルを含む計8個のメダルを獲得し、世界選手権(World Cycling Championships))でも計7度の優勝を誇っている。

 自身のチームのフェイスブック(Facebook)ページでウィギンスは声明を発表し、「私は運良く、12歳の時に恋に落ちた自転車競技で生計を立て、キャリアを築くという子供のころの憧れを実現させ、夢を生きた。20年の間に憧れの存在と対面し、ともに自転車で駆けた。世界最高のコーチや監督とも仕事をした。これからもずっと彼らの支援に感謝し続けるだろう」と語った。

「ウィゴ(Wiggo)」の愛称を持つウィギンスは、英国人として最多の五輪メダル獲得を果たしており、ロードレースとトラックの双方で五輪と世界選手権の優勝を果たしたただ一人の自転車選手となっている。

 その他にも、2015年6月にはトラックでアワーレコード(1時間の走行距離)の世界記録を更新し、グランツール(三大ツール)全大会でリーダージャージーを着用するという功績を残した。また、チームパシュートの世界記録達成にも貢献している。2013年にはエリザベス女王(Queen Elizabeth II)からナイトの爵位を与えられ、「サー(Sir)・ブラッドリー」と呼ばれている。

 2012年はキャリア絶頂の年を迎え、ツール・ド・フランス制覇に続いて、地元のロンドン五輪のタイムトライアルで金メダルを手にした。

「良いときも悪いときも、いつも変わることのなかったファンからのサポートや愛はずっと忘れない。2012年は恍惚(こうこつ)のときで、最高だった。自転車は私にすべてを与えてくれた。そして、素晴らしい妻キャス(Cath Wiggins)と私たちの子どもたちの支えがなければ、何も成し遂げられなかっただろう」

 生まれ故郷のベルギー・ヘント(Ghent)で先月行われたヘント6日間レース(Six Days of Ghent)が現役最後のレースとなったウィギンスは、今夏のリオデジャネイロ五輪では、チームパシュートで自身5個目の金メダルを手にしている。

 しかしながら、この数か月はキャリアで最も成功を収めた時期に在籍していたチームスカイ(Team Sky)での、疑わしい行為のうわさが暗い影を落としていた。

 ウィギンスは、2011年と12年のツール・ド・フランスや2013年のジロ・デ・イタリア(2013 Giro d'Italia)の直前に、禁止薬物のトリアムシノロン(triamcinolone、ステロイドの一種)の治療目的使用の適用措置(Therapeutic Use Exemption、TUE)を得ていたことが明らかになった。

 ウィギンス自身は不正行為を否定しており、規則を破った兆候も見られていないが、英国反ドーピング機関(UKAD)は調査を進めている。(c)AFP/Tom WILLIAMS