【12月29日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)でイスラエルによるユダヤ人入植活動を非難する決議が採択されたことに関連し、ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は28日の演説で、パレスチナ占領地での入植地建設は民主国家としてのイスラエルの将来そのものを脅かすと強く警告した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は直ちに激しく反発した。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の退任まで1か月を切る中、ケリー長官は国務省で行った演説で、ネタニヤフ政権はイスラエルによる「恒久的占領」への傾斜を許していると厳しく批判した。

 来年1月20日に就任するドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領はイスラエルに対して、国際的な圧力に屈せず「断固とした態度を取る」よう促している。今回の演説で、ケリー長官が中東和平プロセスに対してどのような影響を与えることを望んでいるのかははっきりしなかった。

 ただ、包括的な内容で時に怒りをあらわにしたこの演説で、1967年以前の境界内で2国家がエルサレム(Jerusalem)を首都として共有する和平協定の条件については明確に示した。

 一方、ネタニヤフ首相はケリー長官の演説後、すぐに「イスラエルに対する偏見」だと強く非難した。地元NGOによるとエルサレム当局はその直前、入植者向けの新たな4階建て集合住宅の建設を認可した。

 国連安保理は23日、イスラエルによるパレスチナ自治区内での入植活動を非難する決議を採択。米国はオバマ大統領の指示で拒否権を行使せず棄権に回っていた。

 安保理15か国の他の14か国が一致して支持した決議は、エルサレム東部とヨルダン川西岸(West Bank)での1967年の境界を越えたイスラエルによる入植活動は違法だと事実上宣言するもので、イスラエルは支持した国に強く抗議している。(c)AFP/Dave Clark