【12月23日 AFP】ポーランドの外科医師らは22日、先天性欠損症により生まれつき片側の手がなかった男性(32)に、死亡したドナーの手を移植する手術に成功したことを明らかにした。医師らは先天性欠損症の患者への移植術としては、世界初の成功例だと述べている。

 同国ブロツワフ医科大学病院(Wroclaw Medical University Hospital)の外科医チームの執刀医は「先天性欠損症の成人への世界初の上肢移植例」だと述べた。同医師によると、これまで同様の手術例は、インドネシアとカナダで生まれたばかりの結合双生児に行われたものだけだった。また上肢切断術を受けた後の患者への手の移植手術は行われたことがある。

 今回の手術は手首からの先の移植で、今月15日に13時間かけて行われた。この手術を受けた男性は、同国の民放テレビTVN24に対し満面の笑みで今後の夢を語り「両方の手を使って家族を抱きしめたい」と述べた。

 現時点ではこの男性が動かせるのは指だけで、手首は動かせていない。だが医師らは、時間が経てば動作範囲が広がるとしている。

 今回の手術は、四肢欠損の状態で生まれてきて、義手や義足といった人工装具の使用が唯一の選択肢だった数十万の人々に新しい可能性を開くものだ。(c)AFP