【12月21日 AFP】オーストリア西部の町のリゾートマンションの所有者が、放牧された牛の首につけられたカウベルの音が宿泊客にとって騒音になっていると訴えていた裁判で和解が成立し、牛にカウベルの代わりに全地球測位システム(GPS)をつけることになった。

 カウベルの音は、高くそびえる山々や木造の山小屋と同じようにアルプス(Alpine)の景観の一部になっていると考える人もいるが、その音をめぐりリゾートマンション所有者のギュンター・フリック(Guenter Frick)氏は昨夏、農家のエンゲルベルト・ラングレ(Engelbert Laengle)氏を訴えていた。

 フリック氏は裁判で、所有するリゾートマンションの近くに設置された鉄製の水おけで家畜の牛が水を飲むたびに「ひどい騒音」をまき散らすと訴えていた。マンションはスイス国境に近いオーストリアのフォアアールベルク(Vorarlberg)州の絵のように美しい景観が広がるツビッシェンバッサー(Zwischenwasser)にある。

 一方、300年前から続く農家を継いでいるラングレ氏は、カウベルは家畜の所在を確認するためには必須のものだと反論していた。

 そして両者は20日、フリック氏が3000ユーロ(約37万円)を負担して音の出ないGPSを牛の首につけることで最終的には友好的な和解に至った。

 ラングレ氏の弁護士は、今回の解決策について「両者の利益を尊重したものだ」と述べた。(c)AFP