【12月16日 AFP】南米ベネズエラでは、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が100ボリバル札の流通停止を発表したことを受けて、国内に混乱が広がっている。流通停止期限の15日、銀行には100ボリバル札の交換を求める人々が長蛇の列をつくったが、この日から流通するはずの新札がまだ届かず、国民はいら立ちを募らせている。

 ベネズエラは、世界で最悪とも言われるインフレに見舞われている。危機に陥った経済の立て直しに当たるマドゥロ大統領は12日、マフィアが海外に100ボリバル札をため込んでおり、それはベネズエラを不安定化させようとする米国の策略だと非難。72時間後を期限に100ボリバル札を廃止して、2万ボリバル札などの高額紙幣を新規発行する過去最大のデノミネーション(通貨切り下げ)を発表した。

 しかし、期限日の15日になっても、現金自動預払機(ATM)で現金を下ろすと流通停止寸前の100ボリバル札で引き出されてしまう事態が相次ぎ、再び長い行列に並び直さなければならない人々からは不満の声が上がっている。

 同日流通開始予定だった新札は、15日正午の時点で首都カラカス(Caracas)にさえ届いていない。16日以降、国民が100ボリバル札を交換できるのは中央銀行の本部ビル1か所のみとなる。

 こうした中、ベネズエラ政府は15日、マフィア対策としてコロンビア・ブラジルと接する国境の封鎖をさらに72時間延長すると発表した。(c)AFP