■大手2社が独占する移民収容施設

 米国の移民収容施設は、移民関税執行局(ICE)の監督の下、民間企業、特に前述の2社が運営しているものが圧倒的に多い。それ故、来年1月の大統領就任直後に在留資格のない移民200万~300万人を強制送還または収容するというトランプ氏の公約が、この業界に好機をもたらす可能性も考えらえる。

 移民多数の一斉収容に反対する人権団体「グラスルーツ・リーダーシップ(GrassRoots Leadership)」のべサニー・カーソン(Bethany Carson)氏は、これが現実のものとなった場合には「収容される移民の数が膨大に増えるだろう」と指摘する。米国で暮らす人を法的な手続きを経ずに送還する方法がないことから、送還対象となる移民がこれら施設に収容されることになるというのだ。

 さまざまな推計によると、米国では現在、毎年約40万人の移民がこのような施設に収容されている。その費用には税金が使われているが、利益は民間企業に流れている。公的統計によると、収容施設での成人用ベッド1床分のコストは1日当たり123ドル(約1万4000円)、家族用スペースで342ドル(約3万9000円)かかっているという。

 また市場調査会社、IBISワールド(IBISWorld)によれば、強制送還の待機状態にある人々を収容するビジネスは、米国の民間収容施設産業の21%を占めており、53億ドル(約6000億円)規模と推計される。大統領選直前に発表されたIBISの報告書では、業界大手のコアシビックとGEOグループによる不法移民の収容定員拡大に伴い、「この数字は今後5年間でさらに成長が見込まれる」とされた。

 トランプ次期米政権が最終的にどんな方針を取るにせよ、この業界の前途は明るい。2009年以降、米議会は連邦政府に対し、不法移民対策の促進のため全国の収容施設のベッドの少なくとも3万4000床分は常に満たしておくよう求めており、この政策によって民間の収容施設業界は儲かってきた。

 一方、人権団体の米国自由人権協会(ACLU)は最近、移民収容施設の状況に対する政府の監督欠如を指摘しつつ、「民間セクターへの依存」をやめるようICEに要請した。

 しかしトランプ氏には、こうした見解を共有する気配はまったくない。同氏は3月、「刑務所は大々的に民営化し、民間刑務所にすればいいと思う。その方がずっとうまくいきそうだ」と述べていたからだ。(c)AFP/Jeremy TORDJMAN