【11月25日 AFP】大統領選によって国内の分断が露呈した米国では24日、家族や親戚が集まって感謝祭を祝った一方、ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領の陣営内に、新政権の国務長官人事をめぐって対立があることが明らかになった。

 トランプ政権の国務長官としては、2012年米大統領選で共和党候補だったミット・ロムニー(Mitt Romney)元マサチューセッツ(Massachusetts)州知事が本命と目されている。しかし、トランプ陣営の中でも特に忠実な支持者らは、大統領選中にトランプ氏を排除しようとした共和党内の主流派の先頭に立ち、トランプ氏を「詐欺師」「ペテン師」と呼んで激しく批判したロムニー氏の国務長官指名を阻止すべく団結。名指しでロムニー氏に対する攻撃を開始した。

 ロムニー氏が国務長官に選ばれれば、共和党主流派やトランプ氏の外交政策を危惧する同盟国は胸をなでおろすだろう。だが、ロムニー氏とトランプ氏は米露関係など外交政策の点でも食い違いがあることが分かっている。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領を高く評価し関係改善を打ち出すトランプ氏に対し、ロムニー氏はロシアを米国にとって「地政学的に最大の敵」だと発言している。

 トランプ氏の顧問、ケリーアン・コンウェー(Kellyanne Conway)氏は24日、「ソーシャルメディアや私的なやりとりを通じて、ロムニー氏に関する大量のコメントが寄せられている」「トランプ氏に忠実な一部の支持者たちは、ロムニー氏が国務長官になることを危惧している」とツイッター(Twitter)に書き込み、ロムニー氏の国務長官としての適性に疑問を投げ掛けた。

 同様にトランプ氏の熱烈な支持者であるニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)元下院議長も、ロムニー氏は大統領選でトランプ氏が公約した「現実的な米国第一の政策」の代弁者にはふさわしくないと、米フォックス・ニュース(Fox News)の番組で主張。「トランプ氏の外交政策構想にもっとふさわしい人物の名前を、他に20人は挙げられる」と述べた。

 マイク・ハッカビー(Mike Huckabee)前アーカンソー(Arkansas)州知事も、ロムニー氏があらゆる手段でトランプ氏失脚を狙ったことを「今でも非常に不満に思っている」とフォックス・ニュースに語り、国務長官起用に反対する意向を示した。(c)AFP/Mandel NGAN、Nicolas REVISE